研究概要 |
植物病原性糸状菌におけるダイカルボキシイミド耐性に深く関わると考えられている浸透圧調節系遺伝子のうち,ヒスチジンキナーゼ遺伝子をBipolaris maydis(Cochliobolus heterostrophus)からクローニングし,遺伝子構造を明らかにするとともに遺伝子破壊株の作製を試みた。本菌の3種のヒスチジンキナーゼ遺伝子のうち,bmhk1は各種生物のヒスチジンキナーゼの保存配列HboxとNbox特異的ディジェネレートプライマーを用いて,得られたものである。bmhk1は5つのORFを含む全長約6kbpからなる遺伝子であり,全域にわたってnik-1遺伝子との高い相同性を保持していた。また,nik-1に特徴的にみられる92アミノ酸残基から成る繰り返し配列も高度に保存されていた。また,HboxとGlbox,ClboxとDbox特異的ディジェネレートプライマーを用いて得られたbmhk2,bmhk3は,それぞれGlomerella cingulataのchk-1遺伝子とVibrio choleraeのLuxQ遺伝子との相同性を有していた。これらの遺伝子の部分配列をトランスフォームベクターpCB1004にクローニングし,Bipolaris maydis野生型株を形質転換した。その結果,bmhk2,bmhk3の遺伝子破壊株が得られたがbmhk1については得られなかった。bmhk2,bmhk3の遺伝子破壊株の表現型は野生型と変わらなかった。
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