研究概要 |
出芽酵母のearly Golgi膜画分を免疫学的に単離するためのタグとして、early Golgiで機能するt-SNAREであるSed5蛋白を選択した。myc6-Sed5の融合蛋白をコードする配列を染色体上のSED5遺伝子と置換してmyc6-Sed5を唯一のSed5蛋白として持つ株を作製した。この株から坑myc抗体を用いて免疫沈降することによりSed5蛋白質の局在する膜画分(Sed5 vesicles)を単離することを試みた。免疫沈降で回収された膜画分をTriton X-100で可溶化した後にSed5 vesiclesに含まれる蛋白をSDS-PAGEとウェスタンブロッティングにより解析した。今まで存在の知られているマーカー蛋白による抗体を用いてSed5 vesiclesに存在する蛋白を調べたところ、Golgi体で蛋白の糖鎖修飾に関係しているMntl,Van1,Mnn9蛋白とER-early Golgiの膜輸送で機能しているYpt1,Sec22蛋白が多く回収されているのに対してERに局在する蛋白であるSec71蛋白とlate-Golgiに存在するプロテアーゼであるKex2蛋白はほぼ完全に除かれていた。さらにSed5 vesiclesを大量に調製、2次元電気泳動により分離してその構成蛋白質をプロテインシークエンシングにより固定した。その結果、ERから出芽するCOPII小胞へのカーゴの蛋白の濃縮に機能しているEmp24,Erv25,Erp1などの膜蛋白が見いだされた他、機能未知の膜蛋白であるYm1067cmも見いだされた。以上の結果からSed5をタグとして用いた免疫沈降により出芽酵母のearly,medial Golgi膜画分が効率よく単離できることがわかった。またYML067c遺伝子の解析も進めており、遺伝子欠損株の作製、HAあるいはmycタグの連結して局在、共沈してくる蛋白を検索することによりそのERあるいはGolgi体での機能を調べている。
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