ZmSUMT1に対する特異抗体を調製し、この遺伝子産物の消長を調べたところ、ZmSUMT1タンパク質の蓄積は硝酸添加後2時間以内にすみやかに蓄積されたものの、その後2時間程度で検出限界以下にまで減少した。つまり、SUMTはターンオーバーが極めて速いタンパク質の1つであることが明らかとなった。ZmSUMT1の硝酸誘導に対する種々の生化学的阻害剤の効果をNiR遺伝子とともに調べたところ、この遺伝子の誘導は調べた限りにおいて、NiR遺伝子と同様の阻害パターンを示した。このことは両遺伝子が硝酸誘導機構において同じ制御機構下にあることを示している。一方SiR遺伝子発現に対する窒素源の効果を調べたところ、窒素補填によりSiRの転写産物の蓄積量は有意に上昇したことから、亜硫酸還元系の少なくとも一部は窒素情報の制御を受けていることが示された。 ゲノムデータベースなどの検索からはシロヘム合成系のSUMT以外の酵素遺伝子に有意な相同性をもつ遺伝子は、高等植物およびラン藻には見い出されなかった。現在酵母のmet8変異株の機能的相補によるスクリーニングの系を構築中である。
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