研究概要 |
高尿酸血症は尿酸が体内に過剰蓄積するために生じる疾病である。尿酸蓄積の原因の一つとして食餌由来のプリンヌクレオシドがあり、これを低減することが高尿酸血症の予防に有効である。本研究では食餌中のプリンヌクレオシドを特異的かつ安全に分解しうるプリンヌクレオシダーゼの開発、および、解析例の無い細菌由来プリンヌクレオシダーゼについて基礎的知見を得ることを目的とした。 前年度では、代表的な食品加工条件の一つである、酸性高温下で活性なプリンヌクレオシダーゼを微生物に探索した結果、細菌Ochrobactrum anthropiに目的酵素を見いだした。本年度においては、O.anthropiのプリンヌクレオシダーゼの単離精製、諸性質の解明、ならびに、酵素遺伝子の解析を行った。本酵素は、分子量40,000のサブユニットからなるホモテトラマー酵素であり、プリンヌクレオシドに特異的に作用する一方、ピリミジンヌクレオシドにより非拮抗的に阻害を受けた。また、精製酵素のN末端アミノ酸配列を基に作成したオリゴヌクレオチドを用いたゲノミックサザンハイブリダイゼーションを行い、本酵素遺伝子全長を含む約1.5kbpの断片をクローニングした。本酵素遺伝子の推定アミノ酸配列は、22残基のリーダー配列を含む363残基のアミノ酸から成り、カルシウム結合領域、活性中心領域、塩基認識領域において原生動物由来のプリンヌクレオシダーゼと相同性を示した。
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