高等植物の花芽形成過程には、チトクロームP450(P450)の酸化反応が関与していると考えられているが、どのP450分子種が反応に関与しているのか分子レベルでの解明はなされていない。そこで本年度は、ペチュニアの花芽形成過程の初期段階で特異的に発現する7種類の遺伝子についてトランスポゾン(dTph1)による遺伝子破壊の実験とcosuppression法によるP450の機能解析を行った。 1)トランスポゾン(dTph1)による遺伝子破壊の実験 P450ゲノムDNAへのdTph1挿入変異体5種類を得た。これら変異体の形態と野生型のペチュニアの花芽形成過程について比較検討した結果、CYP76の変異体に関して、花色の変化が観察された。今後、この花色の変化がP450を遺伝子破壊したものによるのか解析する予定である。 2)cosuppression法によるP450の機能解析 高発現型カリフラワーモザイク35Sプロモーターの下流に、7種類P450cDNAを連結させた植物発現用ベクターを作製し、アグロインフェクション法によりアラビドプシスを形質転換植した。各形質転換体からmRNAを精製し、ノザンブロティング法を用いてP450遺伝子の発現量を調べた結果、7種類のP450についても形質転換体を得た。現在、この形質転換体と野生型のアラビドプシスの花芽形成過程について比較検討を行っている。
|