研究概要 |
1.フルクトシルアミノ酸酸化酵素(FAOD)様タンパクの機能解析 FAODは糖尿病臨床診断に有用な酵素でAspergillus属、Penicillium属の糸状菌に見つかっている。最近、分裂酵母のゲノムプロジェクトでFAODに高い相同性を示すタンパクの存在が示唆された。FAODの生理学的役割を解明する上でこの分裂酵母に存在するFAOD様遺伝子(FLP1)の単離、発現を試みた。PCRによってFLP1を増幅し、大腸菌内でGST-融合タンパクとして発現に成功した。発現したタンパクはFAOD同様に共有結合型のFADを持っていたが、FAODの基質であるアマドリ化合物には作用しなかった。基質について検索したところ、L-ピペコリン酸に高い活性を示した。従って、この分裂酵母のFAOD様タンパクはFAODではなく、リジン代謝に関与するオキシダーゼであることが分かった。 2.1,5-アンヒドログルシトール脱水素酵素(AGDH)遺伝子のクローニングと機能解析 AGDHも我々の研究グループによって発見された糖尿病臨床診断用酵素で糸状菌Trichoderma longibrachiatum 11-3株が生産する酵素である。本菌からAGDH遺伝子の単離を試みた。既に部分配列が分かっていたので、PCRによるギーンウォーキングでAGDH遺伝子をクローニングした。得られた塩基配列から推定されるアミノ酸配列はA.nidulansやNeurospora crassaなどのアルコール脱水素酵素と高い相同性を示した。
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