研究概要 |
(1)sigma-H蛋白質の安定化に関与する巨大複合体を、複数回のショ糖密度勾配遠心法により精製したが、構成成分を同定するには候補数が膨大で、しぼり込みが必要であった。現在、triton-X、tween-20等の界面活性剤や尿素を用い、構成成分をある程度複合体から解離させる条件を検討中である。構成成分の蛋白質レベルの解析のために、種々のエピトープタグ(T7、FLAG、HA、c-Myc、protein-C、6xHis等)に対する市販の抗体の使用を考えた。そのための、融合蛋白質作成用の組み込み型ベクターを構築した。細菌は2種(PrfA、PrfB)の、終止コドン認識の異なる[それぞれ(UAA、UAG)、(UAA,UGA)]ペプチド鎖解離因子を持つ。申請者が新規に得たprfB変異株ではsigma-Hの半減期が野生株に比べ短く、このときsigma-H蛋白質は巨大複合体の状態のみ検出された。一方、spoOH遺伝子(sigma-Hをコード)の終止コドンはUAA-UAGである。以上の事から、終止コドンがsigma-Hの挙動を左右することが考えられたので、その終止コドンをPrfA(UAG-UAG)、又はPrfB(UGA-UGA)依存型に置換した株を作製し、現在解析中である。 (2)GFP(green fluorescent protein)との融合蛋白質を用いて、枯草菌細胞内での蛋白質の局在性の観察をいくつかの機能未知な蛋白質に関して行った。その1例を共同研究として学術誌に報告した。近年見つけられた、DsRed(イソギンチャクの赤色蛍光蛋白質)もGFP同様に、枯草菌細胞中で局在性観察に用いることが可能で有ることがわかった。現在、GFPと併用し、同一細胞内での2重蛍光観察や、励起、放射波長の違いによるエネルギー転移を利用した細胞内での蛋白質の相互作用の検出などへの応用化を行っている。
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