新たに活性酸素感受性変異体の単離を試み、新たに90%酸素で生育できない変異体3株の取得に成功した。次いで、これらの変異体の表現型の解析を行った。 まず、得られた90%酸素高感受性変異体の活性酸素放出剤であるメチルビオローゲンに対する感受性を測定した。卵を調製し、様々な濃度のメチルビオローゲンを含む培地(0.1-0.6mM)で生育させ、4-6日後に、親虫(adult)に生育した割合を求めた。7株の90%酸素高感受性変異体のうち2株は、メチルビオローゲンに対して高感受性を示した。残りの5株は野生株と比較して有為な差を示さなかった。この結果より、これら変異株の変異箇所が様々であることが想像される。 次に、老化・寿命の観点より各変異体を解析した。卵を調製し、20℃で培養し寿命を測定した。まだ、予備的な結果であるが、全ての活性酸素耐性変異体は野生株より長寿命の傾向を示した。一方、90%酸素感受性株の中の2株は野生株と比較して短寿命の傾向を示した。寿命は様々な因子の影響を受け、実験間における誤差も大きいため、実験結果を確かなものとするためには、さらに実験を慎重に繰り返す必要がある。 最後に、DNAを損傷させるUVやX線に対する感受性を調べた。卵を調整し、UV(10、20、40J/m2)、X線(2.5、5、10krad)を照射した。2-3日後に、卵より孵化した虫の数を数え、無照射区に対する割合を求めた。その結果、ほとんどの変異株が野生株と同等の感受性を示した。 現在これらの変異株の表現型の解析を行うとともに、原因遺伝子のマッピングを平行して行っている。原因遺伝子の同定により、酸化ストレスと寿命の間に興味ある結果が得られることを期待している。
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