1、アミノ酸ビセニサミンについてはシャープレス不斉エポキシ化を用いて得られるエポキシドのイミダートの分子内環化反応による窒素官能基の導入、インジウムを用いた水溶媒中でのアリル化を鍵とした合成ルートを確立した。原料となるアリルアルコールの立体化学により種々のアミノ糖合成に適用可能な柔軟性のあるものである。 2、ビセニスタチンの全合成については、20員マクロラクタム環を鈴木カップリング、不斉アルドール反応を鍵とした収束的手法により合成し、1で合成法を確立したビセニサミンより種々の糖供与体とグリコシル化反応を行なっており完了間近である。 3、ビセニスタチンの微量成分として存在し、中性糖マイカロース誘導体であるビセニスタチンMを合成し、その活性試験をすることによりアミノ糖部がビセニスタチンの抗腫瘍活性に非常に重要な役割を有していることを新たに示すことができた。 今後はビセニサミンの合成法をさらに進化させ、ケダルシジンクロモフォアのアミノ糖であるケダロサミンの新規合成法を確立し、これを糖供与体としてアミノ糖誘導体を合成する。またアグリコンをラクトン環にした類緑体も合成し、活性試験を行ない構造活性相関について新たな知見を得る予定である。
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