研究概要 |
VA菌根菌の感染・共生過程において初期ノジュリン遺伝子の発現誘導が見られるかどうかを以下の方法により調べた。アルファルファ(Medicago sativa L.)種子を(1)VA菌根菌Glomus mosseae資材2g(2)VA菌根菌Glomus mosseae資材を水に懸濁し,53μmふるいに通してVA菌根菌を除いたふるい液(3)根粒菌Shinorhizobium meliloti懸濁液(7 X 10^6 cells/ml)1ml,をそれぞれ含む試験管に播種・生育させ,播種後14,16.21日目に根をサンプリングした。サンプリングした根の一部をトリパンブルー染色し,VA菌根菌の感染率を計測したところ,それぞれ17,16,24%であった。いずれの時点においても(1),(2)区で根粒の形成は認められなかった。(3)では播種後10日目には根粒形成が見られた。これらの根から全RNAを抽出し,得られた全RNAをDNase I処理して混在するDNAを消化した後,oligo(pdT)12-18をプライマーとして逆転写酵素でcDNAを合成した。これを鋳型として,初期ノジュリン遺伝子ENOD12特異的プライマーを用いてPCRを行い,生じたPCR増幅産物を2%アガロースゲルにより分析した。コントロールにはMsc27遺伝子を用いた。その結果,根粒菌S.meliloti接種区でENOD12A,Bの明瞭な発現が見られたのに対し,VA菌根菌接種区ではいずれの時点においてもそれら遺伝子の発現は見られなかった。同様の方法でエンドウ(Pisum sativum L.)についてもG.mosseae接種を行い,ENOD12AおよびENOD2遺伝子特異的プライマーでRT-PCRを行ったが,これら遺伝子の発現は見られなかった。
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