平成11年6月から7月にかけて主に統計資料の収集と文献調査を、8月からこれらを続けると同時に、日本、中国で研究計画のレビュー、木材輸入機構を対象とした現地調査などを行ってきた。こうした活動からえられた情報を整理、分析することを通じて、これまで以下のことを明らかにした。 1.原木輸出禁止などによって減少されてきている合板用材の南洋材の代替材として、日本の北洋材輸入量は針葉樹原木をメインとして増加している。針葉樹原木から始まった中国の北洋材の輸入は、近年輸入量の急激な増加だけではなく、針葉樹のほかに広葉樹も急増する輸入構成の変化もみられた。現地買い付けにおける競合によって価格の上昇と交渉の難しさの度合いの増強などは、日中両国の木材輸入機構とも実感するようになり、今後両国における輸入量の増加によって、こうした競合はさらに激しくなってくると考えられる。 2.インドネシアとマレーシアにおいて、日本と中国は上位2位の合板輸出先となっており、両国に向けた輸出量がそれぞれ全輸出量の6割、7割を占めている。また製品輸出であるため、両国の輸入構成もほぼ同じである。そのため、競合はより顕著かつ激しいである。 要するに、世界木材市場における日本と中国との競合は、ロシアで原木を、東南アジアで合板を巡って展開しており、また北米と大洋州でパルプを巡ってその可能性も高くなっている。今後の研究は主に輸出国で現地調査を行い、輸出国からみた日本と中国との競合関係及び木材市場に与える影響などを明らかにする。
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