(1)菌株の収集 北海道内において中毒例の報告されている種、またはその近縁種を採取し、形態観察、標本作製、保存菌株の分離を行った。採取したキノコの属名は以下の通り。 ベニタケ属(5種12系統)、チチタケ属(5種14系統)、テングタケ属(3種13系統)、キシメジ属(10種21系統)、カヤタケ属(3種10系統)、クリタケ属(3種12系統)、スギタケ属(3種9系統)、アセタケ属(2種3系統)、イッポンシメジ属(3種10系統)、イグチ属(2種4系統)、カラカサタケ属(2種3系統)、ヌメリイグチ属(5種16系統)、モエギタケ属(2種4系統)、フウセンタケ属(4種6系統)、サマツモドキ属(2種6系統)、フクロタケ属(3種5系統)ウラベニガサ属(2種5系統)。 (2)分子マーカーの検索 上記において採取したキノコを属内において、有毒種と可食(または無毒)種とを識別することを目的として、PCR用テンプレートDNA抽出方法および、PCR法によるリボソームRNA遺伝子のIGS(intergenicspacer)領域の増幅条件を検討した。テンプレートDNAは、生子実体、アルコール浸漬標本、乾燥標本のいずれからもTEバッファー中で100℃、10分間の抽出により調整可能であることが明らかとなった。それにより得られたテンプレートを用いてIGS領域DNAの増幅を行い、500〜700ベースの増幅産物を得た。現在、RFLP分析に用いる制限酵素およびRAPDプライマーのスクリーニングを遂行中である。
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