リグニン分解における選択性が高い担子菌として知られるCeriporiopsis subvermisporaの菌糸体を、等張濃度のマンニトール存在下で細胞壁溶解酵素として1%Novozyme、0.5%Zymolyase、0.2%Chitinaseを用いて消化することにより調製したプロトプラストに、ヒトヨタケのチューブリン遺伝子発現シグナルに連結した大腸菌のハイグロマイシンB耐性遺伝子を持つベクターpPHT1をPEG/CaCl_2法により導入する形質転換を行った。その結果、1次スクリーニングでは100μg/mlハイグロマイシンB含有再生培地上に生育可能な薬剤耐性株が5μg形質転換ベクター当たり8〜14個得られたが、多くは同濃度の薬剤含有培地上での2次スクリーニングで耐性を失った。2次スクリーニングで耐性を確認した株から抽出されたゲノムDNAを鋳型としてPCRを行ったところ、いくつかの株で導入した遺伝子の増幅を検出した。さらに3回目のスクリーニングを行い薬剤耐性の安定性を調査すると共に、サザンハイブリダイゼーションによる導入遺伝子の確認を行ったところ導入した遺伝子配列が特異的に検出される株が見つかった。このことは同菌における形質転換法が初めて開発されたことを意味する。
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