本研究の目的は、高周波加熱を用いた木材の乾燥における、必要な乾燥時間とエネルギーの予測、効率の良い加熱を行うために木材の誘電特性についての基礎データを得ることである。2年間の研究期間において以下のことを実施した。 1.高周波誘電加熱を用いた木材乾燥を念頭におき、工業的に使用されている周波数13.56MHzの誘電特性について常温での測定をおこなった。 2.日本各地からスギとヒノキの2樹種を収集し、樹種および産地による誘電特性の違いを検討した。収集を行った産地は日本の代表的な木材生産地である秋田県、奈良県、大分県、宮崎県の4県である。 上記の実験から以下の結果および結論を得た。 1.常温域での木材の誘電特性についての基礎データ(周波数依存性、含水率依存性)がスギとヒノキについて得られた。 2.誘電特性に与える影響は樹種、産地の順に大きかった。誘電特性と比重が高い相関を示したので、樹種・産地による誘電特性の違いは、比重が最も大きな因子になっていると考えられる。しかし、それだけでは説明のできない違いが認められた。抽出成分が何らかの影響を与えていると推測できるが、詳しい原因についてはさらなる解析が必要である。 研究期間内において、50℃以上の中高温における誘電特性の測定は機器の問題のため実施できなかった。これらの温度域におけるデータは乾燥の性質上極めて重大であり、今後の課題としたい。
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