研究概要 |
今年度に行った主な実験と、得られた知見を以下に簡単に示す。 1.平板試験体による熱伝導率の評価 当初、想定していなかったような種々の部材として円筒形LVLを利用するために、基礎的なデータを補間する必要があった。そのためスギ、及びアカマツのロータリー単板を用い、円筒形LVLシェルの平板モデルを交錯積層6,8,10,12層で作製し、円周方向での強度性能、熱伝導率等を測定した。弾性率については繊維方向と同様に積層数の影響はほとんど見られず、強度については6層のものでやや低くなる傾向が見られた。熱伝導率については比重の影響が最も大きく見られ、スギ単板で製造したものはアカマツ単板のものに比べ低い熱伝導率を示した。積層数は熱伝導率に影響しないものの、厚さに比例して熱の伝達時間は長くなった。 2.耐火、防火に関する処理を検討 円筒形LVLを熱輸送管として利用する際に問題となる耐熱、耐火性能の向上を目指した実験を行った。まず、耐火処理として一般的な薬剤注入処理をモデルLVLに施し、JIS耐火試験を行った。主剤としてリン酸アンモニウム及びグアジニンリン酸を用いた耐火処理で、注入量によっては準不燃に相当する耐火性能が得られることが判った。また、防災、酸素遮蔽層としてCFRPシートを挿入する新しい試みについても検討した。CFRP層によって目的とする効果が得られること、薬剤処理の低減が可能であることは確認したが、木材単板とCFRP層との接着に課題を残した。
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