研究概要 |
本年度の成果は以下の通りである。なお、alyPEEC遺伝子供与菌はPseudoal teromonas elyakoviiと正式に同定された。 1.アルギン酸分解酵素遺伝子alyPEECおよび近傍領域を有するライブラリーの作製と海水依存型活性発現alyPEEC遺伝子領域を有する3種のクローン(pTPB24,pTPB31およびpCD11)を作製した。pTPB24はalyPEECを含む周辺2.7kbの領域をpUC18にクローン化し、alyPEEC以外にターミネーター配列を共有する機能不明のpaex遺伝子が挿入されていた。pTPB31はalyPEEC遺伝子領域のみを含む1.6kbの断片をpUC18にクローン化したもの、pCD11はalyPEECのG^<165>からN^<398>コード領域、すなわちP.elyakoviiから精製された菌体外アルギン酸酵素と相同なN末端アミノ酸配列を示す領域を発現ベクターpTrcHisBに組込んだものである。pTPB24では25%-75%、pTPB31では、50%-75%、およびpCD11では50%-100%の割合で海水を添加したLB培地でのみアルギン酸分解酵素活性が認められ、いずれのクローンとも海水無添加のLB培地では活性が認められなかった。alyPEECの発現制御領域を削除したpCD11でも活性の発現に海水が大きく影響したことから、本遺伝子の海水依存性の活性発現は、発現制御によるものではないことが明らかとなった。 2.alyPEECの活性発現に関与する海水成分の同定 alyPEECの活性発現に影響を及ぼす海水成分の同定を試み、硫酸カルシウムがalyPEECの活性発現に大きく関与していることが明らかとなった。特に、pTPB24およびpTPB31では、0.26%硫酸カルシウム含有LB培地での活性と、50%人口海水添加LB培地での活性がほぼ同程度であった。 3.プラスミッド保持海洋細菌の探索 函館および下北半島沿岸海域分離菌株を供試し、3菌株からプラスミッド様核酸が検出された。いずれの菌株とも、P.elyakoviiに近縁なAlteromonas属細菌であり、その中の一株はアンピシリン耐性を示した。
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