研究概要 |
1.培養松果体からのメラトニン分泌サーカディアンリズムにおよぼす光の影響 生物時計は環境の明暗サイクルを主な同調因子として用いているが、暗条件下で光照射を行うことにより生物時計の.位相変異を引き起こすことができる。一方,魚類の松果体は培養条件下でも長期にわたって安定したメラトニン分泌のサーカディアンリズムを記録することができる。そこで,、恒暗条件下で培養したアユ松果体に対して様々な時刻に6時間の光照射を行い、メラトニン分泌リズムの頂点位相を指標に生物時計の光パルスに対する位相変位を測定し、反応曲線を描いた。その結果、主観的暗期前半の光パルスは生物時計の位相後退を、主観的暗期後半の光パルスは生物時計の位相前進を引き起こすが、主観的明期の光パルスは効果がないことが判明した。 2.培養松果体からのメラトニン分泌サーカディアンリズムにおよぼす温度の影響 培養アユ松果体を5-35℃の様々な温度で培養し、メラトニン分泌サーカディアンリズムを指標に魚類松果体に存在する生物時計の温度補償性について検討した。その結果,5℃においては明暗条件下でメラトニン分泌の日周リズムが観察されたが、恒暗条件下でサーカディアンリズムは観察されなかった。10-30℃の範囲では,メラトニン分泌は明暗条件下では日周リズム,、恒暗条件下でサーカディアンリズムを示し、その周期は温度の上昇とともに短くなった。その周波数のQ_<10>は1.056と算出され、温度補償性が成立していることが判明した。35℃ではアユ松果体はただちにメラトニン分泌を停止した。
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