研究概要 |
・タンパク質の精製 高知県浦ノ内湾で最も多数容易に入手でき,しかも大型種なので大量のタンパク質抽出に好都合なアカフジツボMegabalanus rosaを100個体余り採集し,冷凍保存してタンパク質精製の材料とした.サンプルを破砕後,1.5MTris-HCl緩衝液に懸濁し遠心・濾過して粗抽出液とし,さらにこれを硫酸アンモニウムで塩析した.この分画をPhamaciaFPLCsystemを用いたDEAESepharose^<TM>カラムによるイオン交換クロマトグラフィーを行った. ・幼生飼育 アカフジツボ成体を実験室の水槽中に維持し,放出された幼生を回収し飼育を試みた.その結果,採集直後の成体からは容易に幼生を得られたが,しばらくすると成体の状態が悪化し幼生を放出しなくなったため,本種成体の実験室での維持が困難であると判断した.そのため別種のタテジマフジツボBalanus amphitriteを用いることとし,これまでのところ成体の状態も良好で順調に幼生を得られ,キプリス幼生までの幼生飼育も成功している. ・キプリス幼生を用いたバイオアッセイ 着生誘起タンパク質の活性を検定するため,キプリス幼生を用いたバイオアッセイを計画した.まず,腰高シャーレ,プラスチックシャーレ,試験管などの種々の容器を用いて幼生付着の様子を観察した.予想以上に付着率が低く,第一の問題点としては,幼生が表面張力により水面にトラップされ,そのために通常の着生が出来ない個体が多かった.また,ドットブロット法によりタンパク質を吸着させたニトロセルロース膜に幼生を付着させ着生誘起の活性を検定する試みは,サンプルの調製法や吸着法を検討している段階である.
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