研究概要 |
本研究では、東京穀物商品取引所(TGE)とシカゴ商品取引所(CBT)における大豆先物市場の因果関係についてより詳細に検討するとともに、CBT に集約される情報が、TGE 大豆先物市場で観察されるボラティリティ変動のARCH 効果の要因になるのではないかという点について分析した。ボラティリティは,先物価格の二次モーメントによって表されるので,非線形の時系列分析手法が応用可能である. 分析に用いた方法は,Clark(1973)の混合分布仮説(MDH)の下で、GARCH モデルを拡張した Lamoureux and Lastrapes(1990)の手法と同様のものである。本研究では、このGARCH モデルによるフレームワークを、Nelson(1991)によって提示された EGARCH モデルに拡張する。MDH の下では、EGARCH モデルもボラティリティ変動の持続性をとらえることができる。 実証分析の結果、CBT に集約される情報の代理変数として用いた CBT 大豆先物取引の出来高は、TGE におけるボラティリティ変動を証明する上で、統計的に有意な要因であることが示されている。しかしながら、出来高を条件付分散式に組み込んでも、ボラティリティ変動の持続性は出来高によってすべて説明されることはなかった。したがって、CBT における出来高は、TGE におけるボラティリティ変動を説明する要因の一部であるという結果となった。また、ボラティリティ変動では、火曜日と金曜日ごとに増大するという、統計的に有意な曜日効果が観察された。
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