平成12年度は平成11年度に引き続き、北海道網走支庁管内および岩見沢市において、地域の複合的発展に関する実態調査を実施した。その概要と結果は以下のとおりである。 1.地域の複合的発展における自治体の役割に関する調査については、網走市および周辺市町村で聞き取り調査を実施した。現時点においては、現時点では部分計画の綴じあわせたものを「総合計画」と称しており、縦割り組織のなかでは、複合的に地域発展に結びつく計画を樹立することはきわめて困難であることがわかった。また、市町村の産業構造が異なっていてもこうした傾向には違いはみられなかったが、農業は支配的な市町村においては比較的地域住民の合意を得やすく、自治体としても、農業を中心とした複合的取り組み(地産地消、資源循環、商品開発など)がみられた。 2.地域農業の企業展開の一つとして、今年度は環境保全型農業(有機農業、減農薬・減化学肥料)を企業的に展開していこうとする経営を取り上げ、実態調査を実施した。環境保全型農業への取り組みは農業経営をビジネスとして展開するうえでも重要な戦略の一つのなると考えられる。調査事例からは、環境保全型農業に取り組んでいる経営の多くは独自の販路をもち顧客を中心に据えた企業的経営を展開している。しかし、津別町では、環境保全型農業に取り組む数戸の農家をリーダーとし、地域全体として環境保全型農業に取り組もうとする事例が見られ、リーダーの経営要因と地域への波及効果の測定をするうえでは良好な事例となった。
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