研究概要 |
全体研究計画は韓国の青果物生産・需要の概要、政策の概要、共同出荷による定時・定量・持続的取引の可能性分析日本輸出に与える影響分析となっている。 今年度は韓国の青果物生産・需要の概要及び政策の概要を分析した。その結果、得られた知見は以下の通りである。 1.生産において、米の輸入自由化が予想されるなかで、野菜・果樹作作への転作が進み、生産過剰の恐れが生じている。特に施設野菜の急増によって供給の周年化が確立した。 2.また、品種も日本の種子や苗、または改良した日本種子や苗が多く栽培され、品質も糖度が若干低いものの、全体的に日本産の品質と非常に近似している。 3.需要において、通貨危機による所得激減は消費の低迷を招いているなかで、高品質趣向が台頭し、生産の高品質化に拍車をかける可能性が高い。 4.流通政策は産地流通改善、価格安定であり、その財源は一般会計予算、農漁村特別税、農産物安定基金である。 5.政策は農協販売事業や農業法人を通して実施しているが、中心に置いてあるのは農協販売事業である。また、農協販売事業の調査によって、(1)政策による農協販売事業の展開を行政連携型、広域園芸農協型、小規模園芸農協型、有指導者総合農協型、無指導者総合農協型、作目班混在型に分類できた(2)そのうち、広域園芸農協型と無指導者総合農協型を除く他の型は、共同出荷へ着実に移行している(3)何れの農協においても指導者の力量が重要である、ことが分かった。政策の鍵となるのは農協の指導者育成といえる。 政策及び農協販売事業の分析を日本の共同出荷と比較し、Kang Kyoung-Koo,Some Lesson from Japanese Vegetable Cooperative Delivery-Prisoners Dilemma and Remedy-という題名で、韓国農業経済学会に投稿し、審査中である。現在は「青果物共同出荷率の決定要因に関する日韓比較分析」を行っている。分析では日本モデルを応用し、韓国の共同出荷率を計測する。
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