準備段階での、微小重力下での既存の知見(NASAとロシアの植物培養装置など)より、基本的な水移動は重力の影響を回避し、素材孔隙の毛管力による水分移動を基本理念とすることが効果的である。そこで、栽培培地の(セラミック、毛管繊維など)のポーラス度(微細孔隙径と量)を変化させるとともに、セラミック状の問題点である水分ストレスを回避するために根との接触面積を増加させる形状の工夫(ヌードル化)を試みた。その結果、試作培地の三相分布はポーラス度の変化に応じて、植物種の適正に合わせた変化をつけることが可能になった。また、pF水分曲線と透水生は、植物根系の生育に支障がない範囲に維持できていることが明らかになった。 既存のような大掛りな溶液調合制御系を設ける事は、宇宙実験の求められる制限からは到底無理である。そこで、自己溶解型の"緩効性肥料"を用いることを考えた。選択した緩効性肥料の各々の溶解特性を調べた結果、多量要素については満足行くものの、微量要素については溶解が遅く、問題が残った。しかし、対象作物のオオムギでの栽培実験では、オオムギの塩類耐性が強いため、微量要素の下限濃度を満足する量の添加量でも、肥料やけ現象は起きず、良好な生育が認められた。
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