研究概要 |
これまで農産物の硬さ測定は主に研究室レベルでの破壊的な測定法が主流であったが,硬さ測定を実際の農産物の選別工程に組み込むには非破壊的な測定が必須条件となる.非破壊硬度測定法として,パラメータに弾性情報が含まれる音響・超音波法は,光学的方法などの他方法に比較して有利であると考えられるが,その実用化には以下の問題がある. ・音波入力のためにセンサを農産物に接触させる必要があり,選別システムが複雑になる ・プロセスが必要になってくる そこで本研究では,非接触型の電磁超音波センサ(EMAT)の農産物への適用の可能性を探ることを目的としている. 今年度は,果菜類組織硬度の推定に用いる音響パラメータの選定を実験的に検討するとともに,電磁超音波センサを試作し、金属板及び電解質を含むゲルを用いた超音波発生実験を行った. 音響パラメータの選定にあたっては,弾性率との関係が明確な音速を用いることとし,縦波音速と横波音速を計測し,ヤング率との関係について比較した.その結果,縦波音速はヤング率との相関が認められなかったが,横波音速は決定係数0.8以上の相関が認められた.このため,硬度推定には横波音速が適していることがわかった. 超音波発生実験では,試料の片面に,ネオジム磁石とコイルを用いて自作した電磁超音波センサを配置し,これに数波長分のバースト電流を流して超音波を発生させ,試料の反対面に密着させた圧電型振動子で伝播超音波をピックアップするようにした. 試料にアルミ板,銅,ゲルを用いたところ,縦波音波が発生していることが確認され,また測定音速値も文献値とほぼ一致した.さらに電磁超音波と試料が接触しないようにしたところ,アルミと銅については縦波音波の発生が同様に確認できたが,ゲルの場合は確認できなかった. 次年度では,さらにセンサに改良を加え,ゲル・果菜類果肉を用いた非接触超音波発生の可能性を探る予定である.
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