土壌を質点の集合とみなし、発土板にて投てきされる着地点を境界条件に組み込んで、完全反転プラウの発土板を設計した。これを市販のプラウフレームに装着して開発機とし、既存のトラクターを用いて砂質ロームの圃場にて種々の条件で実験を行った。以下に実験の方法を示す。 1.土壌のかさ密度と合せたアルミ製の中空棒(φ10×20mm)^8個をトレーサーとし、土壌断面にあらかじめ埋め込んで、耕うん前後の座標を測量した。同時に、耕うん前後の断面を計測するために、直動変位計とレーザ距離計を組み合わせた装置を製作した。これらを用いて土壌の移動を計測した。 2.発土板抵抗に関しては直接の目的とはやや離れるため、今年度は計測を見合わせた。 3.土壌の移動を表示するソフトウェア開発を一部行った。 その結果、次のような知見を得た。 1.同じ耕幅で作業をする場合 (1)耕深が小さいほど完全反転に近い結果が得られる。比にして1/3程度が望ましい。 (2)耕深が大きいと、断面が容易に崩れて設計時に仮定した土の投てき状況と異るため、完全反転ができない部分が増える。また設計理論上も完全反転不可能な部分が増える。 (3)土壌の粘着性に多少の違いがあっても、耕うん時に土壌が破砕されてしまうならば、上記(1)(2)の結果に変わりはない。 2.反転する側に既耕の土壌が残っていても完全な空間でも、反転性に大きな差異は見られなかった。 3.投てきモデルにて発土板を設計したため、設計速度の80%以下になると全く反転を達成できなかった。
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