今年度は昨年度の実績に基づき、当初予定していたよりも研究計画を前倒しにして、発土板にて土壌を投てきして反転させる様式を引き継ぎつつ、できるだけ土壌の横移動がない反転、すなわちその場反転が可能かどうかを検討した。 設計にあたっては土壌れきは進行方向には分断されるが断面は崩れずにほぼ剛体と仮定し、投てき後の着地点を境界条件に組み込んで、発土板形状を決定した。また発土板と対面する位置にディスクコールタを配することで、れきの横移動と摩擦抵抗を押さえつつもれき断面に回転運動を与えることができる構造とした。これによりプラウに作用する側方力をできるだけ打ち消してより安定して走行できるようにし、地側板の摩擦によるけん引抵抗の軽減もねらった。 昨年度と同様に、既存の発土板プラウのフレームに刃板・耕深調節輪・地側板・ディスクコールタのみを残して設計した発土板ともう一枚のディスクコールタを取り付け、試作機とした。反転の結果としては、 (1)刃板の寸法の都合上、発土板の幅を15%程度削ったので、その部分に残耕ができた。 (2)供試した畑が砂壌土であったので、断面が崩れてやや横移動が見られた。 (3)上記の場合、後ろにもう一枚ディスクを配することで、安定したその場反転を実現した。 (4)草根が絡んで断面が保持される場合は安定したその場反転ができるが、すでに完全に破砕された耕地のその場反転は不可能である。 また各部品のけん引抵抗と側方力についてセンサを試作して測定したところ、 (1)側方力の総和はほとんど零となり、むしろ発土板と逆方向に作用する傾向にある。 (2)各部品のけん引抵抗は速度とともに漸増する。 等の結果を得たが、速度と反転度の違い・土質差による検討等を引き続き行っている。
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