研究概要 |
植物生産における生体計測技術は,システム工学的には,制御対象としての植物生産システムにおけるフィードバック信号の検出技術を担っている.そこで,植物の状態を把握するためのセンサにはさまざまなものがあるが,植物が出しているどの情報を受け取るかにより異なる.本研究では,植物に対してできる限り侵襲が少ない方法で情報を得ることを念頭に,非破壊・非接触である光計測技術,つまり,可視領域外における画像計測により植物生体情報を,特に生育状態に関する情報を獲得することを目的としている. 初年度は,育苗診断用画像計測システムの構成を行った.この計測システムは,植物が生育していく状態での形質および形態変化の情報を群落として計測するためのカラー画像計側システムおよび作業用アクチュエータ,その環境制御装置とから構成する予定であった.しかし、作業用アクチュエータと環境制御装置は未完成で、ただ今、製作途中である. また、画像計測のためのカメラを移動させる駆動制御回路の製作を行い、その動作確認を行った。画像入力対象は、128穴(8列×16行)のセル成型トレイで栽培された苗で、カメラを移動させる装置の構造は、リニアモーション駆動用ユニットとパルスモータ駆動を組み合わせたもので,1行内の各列のセル中心位置毎に等ピッチにて移動させるものである。また、行方向の移動はベルトコンベアによるセル中心位置毎に等ピッチにて移動させるものである。また、一度に2個までのトレイの画像入力ができ、ベルトコンベアは反転駆動を可能とし、パソコン等によるプログラマブルな駆動計画を可能となるように構成した。その結果、正常な動作が確認でき、カラー画像計測システムの構築ができた. 今後は、作業用アクチュエータと環境制御装置を完成させ、育苗診断モデルの作成と生育状態の推定を行う予定である.
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