栄養処埋による食肉呈味低下モデル家畜を用い、食肉の呈味形成要因の検討を行っている。このモデル食肉は、対照群に比較し有意に呈味が異なることを明らかとしている。その主要因を明らかとするため、アミノ酸及び核酸関連物質に注目したが、10日間の栄養処理により遊離グルタミン酸〈Glu)は35%、イノシン酸は12%、各々有意に変動し、他のアミノ酸、核酸関連物質においてはヒスチジン及びアルギニンが変動を示した。解析の結果、呈味の変動は主として栄養処理による食肉のGlu量の変動に由来することを明らかとした。同成分の変動は若齢ほど顕著であり、前記が49日齢であることに対し、28日齢ではGluが54%の変動を示すことを明らかとした。またモデル肉のGluの変動要因を明らかとするため、食餌成分、つまり蛋白質、代謝エネルギー量及び他成分の検討を行った結果、食餌の代謝エネルギー量がGlu濃度を調節することを明らかとした。このことから糖代謝との関連について検討を進めている。一方、栄養処理による食肉の呈味変動に対する熟成の影響を検討し、熟成による影響は見られず、栄養処理は主として生体に対して影響することを明らかとした。またモデル家畜の食肉の物性の検討を進めた結果、剪断力価及び破断強度への影響は認められなかった。他の項目については、現在、検討を行っている。これらの成果については、日本畜産学会大会及び家禽学会大会にて3回の研究発表を行った。
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