研究概要 |
デジタルカメラと照明装置とを一体化することで,鮮明な画像が採取可能な撮影装置を開発し,得られた画像を利用して,BMSナンバーならびにBCSナンバーを推定することを目的とした.撮影装置は,ドーム部,リング部およびデジタルカメラ部により構成されており,ドーム部の底面には,上方向に向かって570個の白色発光ダイオード(白色LED)がリング状に配置されている.また,リング部には,透過率80%の拡散板が設置されており,432個の白色LEDからの光を,被写体に照射させる働きを持つ.ドーム部底面と枝肉横断面が接触するため,鉛直方向かつ一定距離からの撮影を可能としている.BMSナンバーの判定に関し,黒毛和種肥育牛271頭について,開発した装置を用い撮影を行った.ロース芯表面で乱反射をおこした画像はなく,本装置を使用することで,安定的に鮮明な画像を採取できることが明らかとなった.格付員によるBMSナンバーを従属変数,画像解析形質および客観的に測定可能な枝肉形質(計148変数)を説明変数候補とし,逐次変数増減法による重回帰分析からBMSナンバーを推定した.説明変数候補から選択された6変数を利用した重回帰式を用いて,BMSナンバーの推定を行ったところ,推定したBMSナンバーと格付員によるBMSナンバーとの差が,±0である割合は,62.0%,±1以内である割合は97.0%となった.また,BCSナンバーの判定に関し,1,208頭の枝肉横断面を撮影し,変数逐次増減法による重回帰分析を行い,BCSナンバーを画像解析形質から推定した.推定されたBCSナンバーと格付員によるそれとが一致した割合は76.8%,それが±1以内であった割合は,100.0%となった.今後,さらに精度を向上すべく,新たな画像解析形質やアルゴリズムを検討する予定である.
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