ニワトリレプチン受容体(cObR)cDNAは約3.5kbのタンパク質翻訳領域を持つ3.9kbのクローンとして得られた。塩基配列から予想されるアミノ酸配列は哺乳類のレプチン受容体と約50%の相同性を有し、サイトカイン受容体ファミリーに共通して認められるWSXWSモチーフ、細胞内情報伝達に必須であるとされているボックス1、2及び3は種をこえて高度に保存されていた。哺乳類のレプチン受容体は細胞内領域の長さが異なる数種類のisoformが存在しているが、細胞内情報伝達に関与するのは、ボックス1、2及び3を完全に有する受容体(long formあるいはsignaling form)のみであることが明らかにされている。今回得られたクローンはそのlong formに相当していた。 RNase ptotection assayの結果、cObR mRNAは解析した組織すべてにおいて発現が認められたが、得に脳、卵巣でのmRNA発現量が高かった。小腸において性成熟後にcObR mRNA発現量の増加が認められたが、それ以外の組織において、性成熟に伴うcObR mRNA発現に差は認められなかった。これと同様の結果は未成熟雌鶏にエストロゲンを投与することにより再現された。脳、卵巣での高いmRNA発現は、ニワトリにおいても哺乳類と同様に摂食やステロイドホルモン産生の調節に関与していることを示唆している。また小腸におけるObR mRNA発現がエストロゲンにより変動することから、小腸上皮での食物の吸収がエストロゲン-レプチンによる制御を受けている可能性を示している。
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