ニワトリレプチン受容体に対するモノクローナルを作製し、3種類の抗体を得ることに成功した。この抗体を用いて免疫学的手法によるニワトリレプチン受容体の検出を行い、以下を明らかにした。 1)それぞれの抗体を用いたウエスタンブロット解析により、ニワトリレプチン受容体はいずれも約200kDaのタンパクとして検出され、本研究で得られたモノクローナル抗体はレプチン受容体のlong isoformに特異的に反応する事が明らかになった。 2)免疫組織化学法により、ニワトリレプチン受容体が脳内に広く分布し、特に視床下部領域に多く存在することを明らかにした。 3)ニワトリ脈絡叢ではレプチン受容体mRNA発現が高い事が明らかにされているが、脈絡叢では本抗体と反応する細胞が非常に少なく、ニワトリでも哺乳類で明らかにされているshortisoformに相当するmRNA及びタンパクが存在している可能性が強く示唆された。 ニワトリオレキシンcDNAのクローニングと、遺伝子発現について検討を行った。ニワトリオレキシンcDNAは658bpのクローンとして得られた。ニワトリと他の動物種のオレキシン前駆体タンパク質との間の相同性はアミノ酸レベルで約55%であった。ニワトリオレキシンmRNAは視床下部で発現が認められ、特に視索前野での高かった。しかし他の脳部位ではオレキシンmRNA発現は認められず、視床下部領域で特異的に発現しているタンパクであることを明らかにした。哺乳類においてオレキシンは摂食を刺激する事が明らかにされているが、生理的にほぼ絶食状態にある抱卵期のニワトリ視床下部領域のオレキシンmRNA発現は他の時期と変化がないことを明らかにした。
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