本研究は、AFLP法を用いたニワトリ筋ジストロフィー遺伝子を染色体上に位置付け、この原因遺伝子の推定を行うものである。この遺伝病に対するニワトリ戻し交雑のリソースファミリー55個体に対し、分析を行いその個体ごとの筋ジストロフィーの遺伝子型を同定した。次いで、連鎖分析のマーカーであるAFLPは、バンドがスメアにならず、かつ最も良く多型が検出できる制限酵素をいくつか検討したところ、これまでいくつかの種でよい結果が得られているEcoRIとMseIの組み合わせが最も効率がよいと判断した。EcoRIとMseIのプライマーにはすべて3塩基の選択的プライマーを用い、現在のところその組み合わせ数は32である。これを用いた分析より、このファミリーに対するAFLP多型マーカー数は260となった。さらにこれらAFLPマーカーを染色体上に位置付けるために、マイクロサテライトマーカーの分析も同時に行った。120のマイクロサテライトマーカーの多型性をこのファミリーに対して検討したところ、約60%のマーカーが多型を示した。現在、37個のマイクロサテライトマーカーが55個体のファミリーに対して多型解析を終了している。このAFLPマーカー、マイクロサテライトマーカーおよび筋ジストロフィーの遺伝子型に対して連鎖分析を行ったところ、77の連鎖グループが検出された。5つ以上のマーカーが連鎖したグループ数は18であり、10以上のマーカーが連鎖したのは5グループであった。筋ジストロフィーの遺伝子型はこの5グループのうちの一つに属し、またマイクロサテライトの分析からニワトリ第2染色体上に位置していることが推定された。今後、さらにAFLPマーカー、マイクロサテライトマーカーの数を増やしていくとともに、この第2染色体上の詳細な連鎖分析を行っていく予定である。
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