本研究の目的は、MRL/lprマウスにおけるCD28/CTLA4-B7補助シグナル非依存症の肺病変について、遺伝背景の異なるマウスを用いることで病変形成に関わる原因遺伝子を探索すること、さらに、肺病変発症機序を解明するために、免疫組織化学的および臨床病理学的に詳細に解析して、病変形成に関わるサイトカインを同定し、抗サイトカイン抗体の投与実験によってその関わりを証明することである。 MRL/lprに加え遺伝背景の異なるC57BL6/1prおよびC3H/He/lprマウスにもCTLA4IgGを生後24時間以内から1回100μg、週3回腹腔内に投与し、20週齢で肺の病理組織学的検索を行った。その結果、MRL/lprではCTLA4IgG投与の有無に関わらず強い肺病変が認められた。C57BL6/lprではCTLA4IgG投与により肺病変が有意に抑制され、C3H/He/1prでは対照と同程度の軽度の単核球浸潤が認められた。以上のことから、CD28/CTLA4-B7補助シグナル非依存症に生じる肺病変はMRL遺伝背景とともにlpr遺伝子つまり、Fas分子の異常によって誘導されることが示唆された。 今後、MRL/lprマウスの肺病変発症機序の解明を目的として、MRL/lprマウスの加齢に伴う肺への浸潤細胞を免疫組織化学的手法を用いて同定するとともに、肺組織から単核球を分離し、フローサイトメトリーにより解析を行う予定である。
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