研究概要 |
近年、あいついで新型ブドウ球菌エンテロトキシン(SE)H型、G型、I型の存在が報告された。これら新型SEの診断方法の確立を目的とし、以下の研究を行った。 A.新型エンテロトキシン(SE)の大腸菌発現系確立と抗血清の作成 SEH,SEG,SEI標準株DNAより、PCR法を用いて各SE遺伝子のオープンリーディングフレームを含む遺伝子断片を増幅し、各遺伝子断片をクローニングベクターpGEM3Zf(+)にクローニングした。ついで塩基配列を決定し、既報のSEG、SEHおよびSEIの塩基配列と一致することを確認した後、これらの遺伝子断片を発現ベクターpGEX-6P-1にサブクローニング、大腸菌に導入して大量発現系を確立した。この系を用いて精製組換え型SEG、SEHおよびSEIを調製し、これを抗原としてウサギに免疫し、特異抗血清を作製した。 B,PCR法による毒素遺伝子検出法の確立 すでに公表されているSEH,SEG,SEIの配列および今回クローニングした遺伝子の塩基配列に基づき、SEG、SEHおよびSEI遺伝子を検出するためのPCRプライマーを設計した。さらに、これらのプライマーを組み合わせ、multiplexPCRを行うことにより、同時にSEG、SEHおよびSEI遺伝子を検出する系を確立した。 平成12年度は、これらの成果に基づいて新型SEの高感度な免疫学的検出法を確立し、PCRによる遺伝子診断とあわせて食中毒由来ブドウ球菌、食品由来ブドウ球菌の遺伝子型と毒素産生性について疫学的調査を進める予定である。
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