| 研究概要 |
複数の発情期にあるホルスタイン種雌牛より子宮頚管粘液を採取し,混合して凍結保存した.混合前の粘液を採取した個体別に同様の方法で凍結保存し,混合が精子の侵入に及ぼす影響を調べた.その結果,採取個体別の粘液より混合した粘液への精子の侵入距離が長い傾向にあり,また混合粘液の異なる作成の間で精子の侵入距離に差のあることが明かとなった.今後この差を回避し,一定して均一な粘液を供給できる方法を調べ,多数の異なる種雄牛の精子の侵入距離を比較できるような方法を確立する予定である.1頭の雌牛より採取した粘液を使用して,子宮頚管粘液侵入試験を行ったところ,受胎率が正常以下の凍結-融解精液については侵入距離が低下した.凍結-融解前の希釈精液を洗浄した後Ca^<2+>およびCa^<2+>イオノホア(A23187)を添加した培養液中で培養し,一定時間後固定し顕微鏡下で精子の先体を観察し先体反応誘起率を測定した.その結果,A23187により牛精子の先体反応が時間に依存して増加することが明かとなった.次年度においては,凍結融解した精液のA23187による先体反応誘起率およびDAG生成量の変化を調べ,正常な受胎率を持つ精液と正常以下のそれと比較し,A23187負荷試験の有効性を調べると共に,この試験と粘液侵入試験が新しい精液検査方法として利用できるか否かについて検討する.
|
