新生子牛は病原微生物の感染に起因した消化器・呼吸器疾患の発生率が高く獣医畜産学上、本疾病の理解とその制御は重要な位置を占めている。新生子牛の易感染性の免疫学的背景として、呼吸器および消化器粘膜の組織構造が病原性微生物の定着・侵入を許しやすいこと、更に病原体に対する液性および細胞性の免疫応答能が不十分であること等が知られている。 本研究では新生子牛における好中球機能の発現調節機構について検討し以下の結果を得た。 (1)新生子牛に対するIL1β投与により、好中球の活性酸素生成能および化学発光反応に有意な上昇が認められた。 (2)新生子牛より分離した好中球をin vitroにおいてIL1βと反応させたところ、濃度依存性に好中球の活性酸素生成能および化学発光反応に顕著な上昇が認められた。 (3)新生子牛に対するIL1β投与により、好中球の細胞内情報伝達物質(細胞内カルシウムおよび細胞内リン酸化酵素)の量的変化が認められた。 (4)新生子牛より分離した好中球をin vitroにおいてIL1βと反応させたところ、好中球の細胞内情報伝達物質(細胞内カルシウムおよび細胞内リン酸化酵素)の量的変化が認められた。 以上の結果より、新生子牛においてサイトカインによる免疫調節は極めて重要であり、これによる好中球の機能的は細胞内情報伝達系の変化をともなう事が明らかになった。
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