研究概要 |
栽培イネ第5染色体に由来するDNAクローンY1263(380kb)やB09I21(160kb)が動原体領域に局在する繰り返し配列RCS2とRCE1を共有することを明らかにした.この周辺で組み換えが抑制されていることと併せて,これらのクローン周辺が機能的な動原体の形成中心である可能性が高いと考えられる.今年度は両クローンおよびその周辺に由来するクローンを用いて,第5染色体の動原体領域について1Mbを越える領域をカバーする整列化地図を作製した.しかしこの領域を構成する多くの繰り返し配列により解析が困難なため,未だカバーされていない領域も多く残されている. RCS2は約160bpの短い配列が全ての動原体付近で直列に配列していることが知られていたが,Y1263とB09I21では約10kbのRCS2クラスターが2つ存在していることがわかった.一方RCE1は両クローンを含む約600kbの広範囲にわたり十数コピーが分布しているが,2つのRCS2クラスターに近接して存在するコピーが確認された.また多くのレトロトランスポゾン様配列の分布も確認された. 動原体周辺は細胞周期を通じて凝縮程度が高いことから,従来は遺伝子の密度が低いと予想されていたが,イネ第5染色体の動原体領域では今回ESTに対応する8つの配列が見いだされ,これらが転写活性を持つことが示唆された.特にRZ296は2つのRCS2クラスターの間に存在していた. 今年度選抜されたDNAクローンは,動原体としての機能を解析するため,一部改変した後にイネ細胞に導入する予定である.
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