研究概要 |
運動器としての筋の形態のマクロ的な解析において,1つの指標としてとらえられてきた神経支配が,実際に筋の分化していく過程においてどのようにして形成されるのかについて検討し,またそれらの形成過程を経時的,3次元的にとらえることを目的としている。今年度は,Stage 25-30(Hamburger and Hamilton,1951)のニワトリ胚を用いて,肢芽の筋のパターンと神経のパターンについて,肢芽のパラフィン連続切片をつくり,HE染色と抗Neurofilament Protein抗体免疫染色を用いて観察を行った。また,胚のwhole mount免疫染色による腕神経叢の形成についての観察もおこなった。さらにニワトリ成長の解剖所見も得ることによって,神経分布のマップ作りをおこなった。これらの検索により,翼芽前腕筋の分化パターンとそれに赴く神経線維を明らかにし,コンピュータを用いた立体構築画像として構成するべくデータがかなり収集された。現在それらを解析整理しているところである。また,神経の走行位置が,はじめから既定されているのではなく,筋の形成に応じて,変化していっていることも明らかになり,筋の分化の経時的観察の重要性があらためて確かめられた。これらの実験と平行して,ニワトリ筋芽細胞の培養をおこない,ニワトリ肢芽への培養細胞塊の移植実験も行っている。この培養細胞塊に入る支配神経の観察も試み,過剰筋形成過程の解析を試みている。
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