我々は平成11年度の研究計画に従い実験を行い、次の結果を得た。 マウスSox7cDNAの全塩基配列を決定し、推測されるアミノ酸の1次構造を明らかにした。マウスSox7蛋白質は380アミノ酸からなり、他のSox蛋白質と同様にSRY-type HMG boxを有していた。SRY-type HMGboxは、現在A-Gの7グループに分けられているが、マウスSox7HMG boxは、type F に属することがわかった。また我々は、マウスSox7HMG boxのDNA結合能を調べるため、マウスSox7HMG boxとGSTとの融合蛋白質を大腸菌に発現させ、これを精製してEMSAに用いた。その結果、マウスSox7HMG boxは他のSRY-type HMG boxと同様にAACAATの塩基配列に特異的に結合することを確認した。 ノーザン分析によりマウスSox7遺伝子の発現が認められている卵巣と心臓を試料とし、我々の作製したポリクローナル抗体を用いて免疫組織化学的検索を試みた。卵巣においては、卵を取り囲む濾胞細胞には染色性はなく、卵にのみマウスSox7蛋白質の局在を示す反応が認められた。また心臓におけるSox7蛋白質の局在は現在検索中である。 マウスSox7遺伝子の構造を明らかにするため、マウスのゲノムライブラリーを作製し、スクリーニングを行った。その結果、EcoRIで切断した9kbpのゲノムDNA断片を含む陽性クローンを一つ得たので、現在このクローンを解析中である。
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