我々は、平成12年度の研究計画に従い実験を行い、次の結果を得たので報告する。 マウスSox7遺伝子の組織特異的発現を調べるために成体の主要臓器を用いてノーザン分析を行った。その結果、マウスSox7遺伝子は心筋には強く発現しているが、骨格筋にはほとんど発現が認められなかった。このことからマウスSox7は、筋組織の中では心筋に特異的に作用している可能性が示唆される。我々は、心臓におけるSox7遺伝子の発現様式を調べるためにin situ hybridization法と作製済みの抗マウスSox7ポリクローナル抗体を用いた免疫組織化学的検索を行った。免疫組織化学的手法より、Sox7遺伝子は横紋筋からなる一般心筋ではなく、心臓の刺激伝導に関係する特殊心筋である、プルキンエ線維に発現していることが明らかとなった。 また我々は、Sox7cDNAをプローブとして、EcoRIで切断したマウスゲノムDNA断片のスクリーニングを行い、陽性クローンを既に得ている。このクローンのシークエンスの解析を進めるとともに、現在FISH法を用いた染色体マッピングの準備を行っている。 本研究室では、マウスのみならずアフリカツメガエルにおいてもSox7cDNAクローンを得ており、ツメガエルの初期胚を用いることでSox7の心臓形成におけるより詳細な役割を解析中である。 今後は、Sox7蛋白質の心臓における局在と染色体マッピング等の結果から、不整脈を生じる疾患とその原因遺伝子としてのSox7遺伝子との関係を検討していく。
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