MDCK細胞における、浸透圧応答性のセレブドシドスルホトランスフェラーゼ(CST)活性調節機構を解析するため、ノーザン解析を行なったところ、mRNAの発現量は浸透圧の変化による影響を受けないことが分かった。このことは、翻訳後調節の関与を示唆する。一方、このCSTの細胞内での機能を、さらによく知るため、そのcDNAをMDCK細胞に導入し安定発現株を得た。この発現株の一部に、CSTの基質を生成するCGT(セラミドガラクトシルトランスフェラーゼ)のcDNAをも導入した。現在、糖脂質の成分分析を行ない、両酵素の厳密な機能を明らかにしようとしている。また、CST-CGTのダブルトランスフォーマントの多くで、プレートに対する接着性が明らかに強まっていることから、細胞接着への関連性をさらに解析する予定である。一方、タンパク質データベースを用いた、硫酸化多糖との結合モチーフの解析により当初予想しなかった知見が得られた。こうしたモチーフは塩基性アミノ酸がクラスターをなしているものであるが、我々は、真核生物のタンパク質モチーフの多くがこうした、性質の類似したアミノ酸の連なりからなることに注目をし、タンパク配列中のアミノ酸の並び方を、統計的に解析した。すると、真核生物のタンパクにはこうした同一のアミノ酸の繰り返しが頻繁に見られることが分かった。さらにcDNA配列の解析から、真核生物のゲノムには、同種のアミノ酸の繰り返しを生じやすい性質が備わっていることが分かった。この、性質について、さらに厳密な分析を行なうため、現在、哺乳動物間で、多数のcDNA配列を比較し、どのようにアミノ酸の反復性が(変更により消失せず)保たれるかを調べている。
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