雄性ラットにおけるGnRHニューロンとGABAニューロンの生後変化に関する免疫組織学的検討を行った。その結果、GnRHニューロン数の成熟過程における変化は認められなかったが、OVLT外側領域でのGAD67陽性細胞数は16日齢では比較的少なく、25日齢では16日齢の2.7倍、30日齢では4.8倍、10週齢では5.7倍に増加することが判明した。またDBB領域でも同様に16日齢では少なく、25日齢では16日齢の1.8倍、30日齢では2.2倍、10週齢では2.8倍に増加することが確認された。一方、大脳皮質では以上のような明確な発達変化は認められず、16日齢から10週齢群まで定常的にGAD67陽性細胞が観察された。Cingulate CortexにおけるGAD67陽性細胞数を定量したところ有意な変動は認められなかった。 GABA_A受容体はα、β、γ、δサブユニットが様々なパターンで組み合わされた5量体により形成されているが、特にαとβサブユニットはリガンド結合に中心的な役割を担っていると考えられている。そこで次に、GABAニューロンのGnRHニューロンに対する神経連絡を証明し、GnRHニューロンに発現するGABA_A受容体の成熟変化をサブユニットレベルで検討するために、まずGABA_A受容体α1サブユニットやβ2/3サブユニットとGnRHの二重免疫染色を行い、これらのサブユニット陽性のGnRHニューロン数の成熟変化について検討を行った。16日齢群では約20%のGnRHニューロンがα1サブユニット陽性、40〜60%のGnRHニューロンがβ2/3サブユニット陽性に過ぎないのに対し、10週齢群では約40%のGnRHニューロンがα1サブユニット陽性、80〜90%のGnRHニューロンがβ2/3サブユニット陽性であった。以上より、成熟に伴うGABA_A受容体を発現するGnRHニューロン数の増加が示唆された。
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