本年度は、腹側被蓋野ドーパミンニューロンにおけるドーパミン受容体に対する、ドーパミンとメタアンフェタミンの感受性の変化を確認するため、腹側被蓋野スライス標本にパッチクランプを行った。 メタアンフェタミンの反復投与後にドーパミンに対するドーパミンニューロンの感受性が亢進するか否かを明らかにするため、スライス標本を用い、ホールセルパッチクランプ法により検討した。メタアンフェタミン(5mg/kg/日、s.c.)を、生後8日の雄性Wistarラットに5日間反復投与し、最終投与より24時間後および5日後における腹側被蓋野ドーパミンニューロンのドーパミン及びメタアンフェタミンに対する感受性を検討した。生食群にも同様のスケジュールで生理的食塩水を反復投与したものを用いた。電流固定下に、ドーパミン(10〜100μM)は用量依存性に生理的食塩水(生食)投与群よりもメタアンフェタミン最終投与5日後のドーパミンニューロンに対し、より大きな過分極を引き起こした。生食投与群及び最終投与24時間後の動物のドーパミンニューロンは100μMドーパミンにより約5mVの過分極を起こすに過ぎず、メタアンフェタミン投与5日後のドーパミンニューロンでは約15mVの過分極が認められた。しかし、メタアンフェタミン(100μM)の投与は生食投与群及びメタアンフェタミン投与群の両者においても膜電位の変化が認められなかった。これらのことから、メタアンフェタミン投与中止5日後において、ドーパミンニューロンではドーパミンに対し感受性亢進が起こっていると考えられる。
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