ヒト腎臓近位尿細管血管側に発現し、腎臓においてパラアミノ馬尿酸などの有機アニオンの分泌に関与する、有機アニオントランスポーターhOAT1をマウス近位尿管S2セグメント由来株化細胞に安定発現させ、この細胞を用いて^<14>C尿酸によるトレーサー実験を行った。hOAT1の輸送特性は、PAHに対してKmは73.1±7.0μM、Vmaxは1736±19pmol/mg/minとなった。尿酸に対してはKmは943±8.0μM、Vmaxは1286±162pmol/mg/minとなった。hOAT1による尿酸輸送はNa^+に依存せず、シス側のC1^-に依存し、シス側のpH低下により輸送が亢進した。尿酸排泄促進薬および抑制薬の影響として、hOAT1の尿酸輸送に対するIC50はベンズブロマロン<プロベネシド<PAH<サリチル酸<ピラジンカルボン酸の順となった。 ヒトにおけるPAH排泄閾値から計算すると、糸球体濾過で排泄される尿酸の量の約1.7倍に匹敵する尿酸がhOAT1を介して細胞内に取込まれていることになる。したがってhOAT1は尿酸排泄に大きく関与しており、その輸送特性の変化が高尿酸血症の発症につながると考えられる。また尿酸分泌抑制薬と考えられてきたピラジンカルボン酸がhOAT1による尿酸輸送を抑えない点から、ピラジンカルボン酸の尿酸排泄抑制機構についてはさらに検討が必要である。
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