前年度は、ヒト腎臓近位尿細管血管側に発現し、腎臓においてパラアミノ馬尿酸などの有機アニオンの分泌に関与する、有機アニオントランスポーターhOAT1の安定発現細胞株を作成し、^<14>C-尿酸を用いた輸送実験により、hOAT1は尿酸排泄に大きく関与しており、その輸送特性の変化が高尿酸血症の発症につながると考えられた。 今年度はhOAT1のin vivoにおける尿酸輸送への寄与を検討する目的で、高尿酸血症患者におけるhOAT1遺伝子の変異について検討した。高尿酸血症患者27名を含む日本人72名のゲノムサンプルを用いてhOAT1遺伝子各エクソンにおける一塩基変異(single nucleotide polymorphism:SNPs)をキャピラリー電気泳動を用いた多色蛍光PCR-SSCP法にて検出し、変異のあるサンプルについてはダイレクトシークエンスによりSNPs部位の同定を行った。その結果51非翻訳領域に2ケ所のSNPsと1ケ所のvariant、第5イントロンと第8イントロンに1ケ所ずつのintron SNPs、第6エクソンにアミノ酸変異を伴う1ケ所のcoding SNPsを認めた。hOAT1遺伝子の5非翻訳領域は第1イントロン相当配列がスプライスされずに残っているものと考えられ、ゲルシフト解析により結合タンパクの存在が示唆され、発現量に変化を与えるregulatory SNPsである可能性がある。 しかしながら、高尿酸血症患者群と対照群の間で統計的に有意な変異の存在は認められなかった。
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