この難聴マウスをns(niigata shaker)マウスと命名し、ns遺伝子座近傍の遺伝地図の作成、連鎖解析、物理地図の作成を行った。まず、難聴の形質を示すホモのnsマウスを日本産野生マウスMSMに交配し、得られたF1マウスをホモのnsマウスに戻し交配した。現在までのところ、戻し交配個体1163個体が得られた。これらの個体について、マウス全染色体上のマーカーを用いて連鎖解析を行った。その結果、第10番染色体上のD10Mit258付近にns遣伝子座が存在することが明らかとなった。さらに、第10番染色体上のマーカーを用いて、詳細な遺伝地図の作成、および連鎖解析を行ったところ、ns遺伝子座はD10Mit59からD10Mit258までの2.7cMの範囲に存在することが明らかとなった。続いて、このふたつのマーカーを用いてYACライブラリーのスクリーニングを行い、D10Mit59で3クローン、D10Mit258で4クローンのYACクローンが得られた。これらのYACクローンの末端配列をSTS化し、YACコンティグの作成を行った。その結果、D10Mit59を含む2つのYACクローンと、D10Mit258を含む2つのYACクローンとがオーバーラップしていることが明らかとなった。しかも、このうち1つのYACクローンはD10Mit59とD10Mit258の両方を含む、すなわち、非組換え領域を完全に含んでいることがわかった。今後、これらのYACクローンからマーカーを単離して、さらに詳細な連鎖解析を行い、非組換え領域を狭めること、それと並行してBACクローンを単離してBACコンティグを作成し、それらのクローンの解析に入る予定である。
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