研究概要 |
1.c-metノックアウトマウスの作製 Cre-LoxPシステムを用いたc-metノックアウトマウスを作製するため,常法に基づきc-metゲノム遺伝子のクローニングを行った. その結果,キナーゼ領域の近傍(エクソン12〜19)を含むゲノム断片を得ることができ,これを基にターゲティングベクターを構築した. 現在,このベクターをES細胞に導入して相同組み換え体の作製を進めている. 2.NK4発現動物の作製 HGFの分子内断片NK4はHGFアンタゴニストとしての活性を有している. メタロチオネインプロモーターの下流でNK4を発現するTgマウスの作製を行った. 遺伝子導入が確認できた15系統中,10系統でZn^<2+>投与によるNK4の高い発現誘導が認められた. その主な発現・産生部位は肝臓および腎臓であり,加えて脳や筋に高発現が認められる系統も存在する. 現在,各種疾患モデル実験系を用いてNK4の器官・組織構築および修復に及ぼす影響を検討している. 3.ケラチノサイト特異的HGF発現動物の作製とその解析 ケラチン14プロモーターの下流でHGFを高発現するTgマウスを作製した. このTgマウスでは皮膚や毛には特に異常を認めなかったが,メラノサイトの異所性増殖がみられた. 一方,メラノーマの発生は観察されなかった. また胎児および成体皮膚組織の詳細な解析より,HGFはメラノサイトの遊走および増殖を促進することが明らかになった.
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