研究概要 |
これまで我々は様々な腎腫瘍においてvinculin蛋白の発現について免疫組織学的およびWestern blot法により検討し、免疫組織学的にはconventional renal cell carcinoma(RCC)では腫瘍細胞内にvinculin蛋白の発現は見られず、chromophobe RCC,collecting duct carcinoma,oncocytoma など集合官の表現型を示す腎腫瘍においてvinculin蛋白は腫瘍細胞内に高い発現率を示し、さらに conventional RCC においてもsarcomatoid transformation をきたしたものではvinculin蛋白の発現を示し、vinculinが集合管の表現型を示す腎腫瘍や肉腫様変化を示す腫瘍の有益なマーカーになりうることを発見した(Kuroda N,et al.MODERN PATHOLOGY,in press)。さらに稀な腎腫瘍であるjuxtaglomerular cell tumor(JGCT)において、レニンの産生の少ないものでは通常若年期に発生する本腫瘍も成人に発見されることがあり、免疫組織学的な検討により腫瘍細胞の細胞質内に血管新生因子の一つである Vascular endothelial growth factor(VEGF)やそそのレセプターの一つであるFlk-1の発現を証明し、autocrine mechanismを介してVEGFがJGCTの腫瘍の増殖を制御している可能性が考えられた(Kuroda N,et al.Pathology International,in press)。一方、気管支原発の granular cell tumorにおいてosteopontinが主として腫瘍の増殖に、osteonectin が腫瘍と担癌体との相互作用に関与していることを示し(Jin Y,Kuroda N,etal.Pathology International,in press)、腎腫瘍においてもosteopontinがどのような働きをしているかについて、様々な腎腫瘍においてosteopontinの発現を検討した(Kuroda N,et al,Journal of Urologic Pathology,submitted)。 現在、Chromophobe RCCの染色体異常についてFISH法により検討中である。
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