研究概要 |
HPV型特異的細胞変性効果のメカニズムについて、HPV1型、HPV4/60/65型、およびHPV63型感染疣贅をモデルに、それぞれの型に特異的に観察される細胞質内封入体やライフサイクルの違いの面から検討した。いずれの型の細胞質内封入体も、免疫組織学的に、それぞれの型のE4遺伝子蛋白に対する抗体と反応することがわかり、HPVの型の違いによらず、E4遺伝子が、これらの細胞質内封入体の形成に関与することが示唆された。一方、病理組織学的あるいは電子顕微鏡的には、これらの封入体は共通してトノフィラメントあるいはトノフィブリルとの関連が予想されるものの、関連HPVの型により異なる所見を示しており、ケラチン代謝に対するHPVの関与と共に、その質がHPVの型の違いによって異なることが考えられた(第18回国際パピローマウイルス学会、バルセロナ、にて発表)。今後、各種ケラチン抗体やHPV・E4抗体を用いた、免疫電顕的検討を加える。 新しく発見・記載したウイルス性疣贅は毛糸玉状の好酸性細胞質内封入体を有し、小型疣状の臨床象と相関することを明らかにした(Dermatology,2000)。ウイルスDNAのクローニングに成功したが、部分的に判明した塩基配列は、既知のいずれのHPV型とも極めて低い相同性を示しており、新HPVの発見と考えている。今後、本HPV型についても、封入体とE4遺伝子との関与、および超微細構造等につき検討する。 これらの研究と並行して行った、HPVのライフサイクルの検討では、ライフサイクルもまたHPVの型により異なることを明らかにした(Virology,2000)。
|