研究概要 |
1)免疫組織学的検討 (1)病変部別phenotypeの検討:MCL27例とprimary-MLP4例を検討した。MCL27例中,経過を追えた19例中l0例に節外性病変を認めた。進展先は消化管(MLPtype)3例,脾3例,眼瞼3例,皮膚3例,扁桃1例,顎下腺1例,軟部l例(重複あり)であった。MCLのphenotypeはCD20 27/27,CD30/27,IgM27/27,IgD12/27,CD520/27,CD10 0/27,CD23 2/19,cyclin D1 21/27だった。パラフィン切片で検討が可能だった7例の節外病変部(眼瞼2例,消化管3例,扁桃1例,顎下腺1例)ではphenotypeに差異は認められなかった。Primary MLPの4例のphenotypeはCD20 4/4,CD30/4,IgM4/4,IgD2/4,CD54/4,CDl00/4,CD230/4,cyclin D1 4/4であり,MCLの典型像をとり,その差異は認められなかった.(2)接着分子の検討:末梢リンパ節と腸管パイエル板へのhomingに関連するリンパ球側の接着分子である,L-selectinとIntegrinα4β7の検討を行った。L-selectinはMCL7/17,MLP3/4に陽性症例を認め,MCLの発現態度と節外性病変の有無とに関連はなかった。integrinβ7に対するpolyclona1抗体を用いて検討を行ったが,検討したMCL11例,MLP2例の全例に陽性を示し,報告されているようなMLP特異性の発現は見られなかった。integrinβ7monoclonal抗体(Act-1)を作成したDr.A.I.LazarovitsよりAct-1の供与を受け,現在その抗体にて再度検討中である。他の接着分子(CD1la,CD18,CD54,CD44,CD34,CD49d,CDl03,CDl06)についても発現傾向に差は認められていないが,今後症例を増やし検討する予定である。また比較的眼瞼・皮膚への進展症例が多く,CLA(cutaneous lymphocyte antigen)の検討を進めたいと考えている。 2)遺伝子学的検討 リンパ腫症例の凍結材料よりRNAを抽出し,cDNAを作成した。サイトカイン・サイトカインレセプターのprimerのデザインを思案し,RT-PCRの準備,予備実験中である。
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