研究概要 |
Wilms腫瘍,肝芽腫の11p15.5領域のimprinting gene cluster locusにおいて7種の遺伝子(IPL,KIP2,KvLQT1,TH,INS,IGF2,H19)のLOHについて解析を行った。 さらにminimal WT2 locus(11p15.5における腫瘍化に最も重要と考えられる領域)であるIGF2/H19 domainの発現やゲノムのメチル化について検索した。 (1)小児悪性肝腫瘍について解析し、23例中21例にLOHおよび発現の異常を認めた。組織型に関わらず同様の遺伝子の変化がみられることが判明した。H19のpromoter領域をBisulfite法によりゲノムのメチル化を塩基配列レベルで決定した。サザン解析では7か所のCpGサイトしか検索ができなかったが、Bisulfite法により34か所のCpGサイトの検索が可能であった。腫瘍はほとんどのCpGサイトがほぼ一様に高度にメチル化を受けていた。 (2)Wilms腫瘍では,WT1遺伝子に異常を認めた症例6例について(1)と同様の解析を行った。4例に母親由来の対立遺伝子のLOHを認め、11p15から11p13(WT1)を含めた広い範囲での欠失が明らかになった。しかし,2例は異常が見られずH19は正常に発現(imprintingの維持,メチル化)していた。この2例についてIGF2の発現レベルを定量的に解析する予定である。
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